210508

ブランコに乗った。少し前にも乗った。別の公園の別のブランコだ。まず軽く地面を蹴り、体を引いて高くを目指す。子供の頃よりも簡単にブランコの揺れは大きくなる。身の危険を感じる程度の揺れに到達する。しだいに頭がぐらぐらして、今手を離したら確実に意識が飛ぶだろうと想像する。そして、ブランコの反復に合わせて足を動かすのをやめると、それまでのリズムを見失い、頭の揺れと相まって気まずい思いが浮かぶ。そばからは手の汗に鉄が滲む匂いが漂う。

思い切りブランコを漕いでしまうと、降りるのは簡単ではない。体を引くのをやめ、地面にその暴力的な反復運動を支える力を逃がさなければならない。おそるおそる地面を蹴る。この瞬間はひどく気まずい。実際に揺れが小さくなるとやるせなく、いざ停止してみると、ささやかな死という気さえしてくる。

ブランコを激しく漕ぎすぎたせいか、生理だからか、エチオピアゲイシャを二杯飲んだせいかわからないが、帰り道に吐き気のあまり何度かえずく。

この公園は自宅から歩いて2分くらいの距離にある。なんとなく不気味で、また歩いて5分もすればもっと立派な公園があるのも相まってなかなか足を運ぶ機会がなかった。細長い形をしていて、日当たりが悪い。晴れている日でも暗い。気が悪い。夜には絶対に入りたくない。

水辺のような小さな堀が見えたので近くに寄ると、一部分に水たまりがあるほかには、すっかり干乾びていた。

横座りをしている幼女の銅像が地面から60cmくらいのところにある。小鳥を膝に乗せ、眉をひそめて誰かを呼んでいる。素人目にも、あまり上手くない。作者・題名は近くに見当たらなかった。

もう来ないだろう。

今日の天気は湿度の高い曇りだった。ポロシャツに太めのジーンズ、新しい黒いスポーツサンダルで過ごした。それは正しい服装だった。