夏の間、仕方なく働いていた。休みではなかった。将来のためにしようとしていたことはできなかった。いつのまにか、また一つ歳をとっている。休日は夕方まで眠って、寝間着から着替えずに一日が過ぎる。運動がしたかった。旅行がしたかった。研究室や進路について考えを深めたかった。しかし何もできなかった。思い出の代わりにわずかばかりの給料が振り込まれたが、ただ生きていくためにつまらないものに消えるのだろう。バイト先の社会人から向けられる学生への哀れみの目に慣れた。

 平凡な考えから、このパンデミックをないものと思おうとした。いくつかの方法を試した。無理だった。東京から出ていないからというのもある。高校生の頃によく利用していた公園に夜久々に立ち寄ると、警備員が集団で利用者を追いやっていた。帰ってください、と叫ぶ声。バイトが終わる時間に大抵の店は閉まる。くたびれた頭で、足で、開けている店を探すのも一苦労だ。休日も、疲れの取れる夕方から支度をしていては同じことだ。友達と会う約束を立てるのがだんだんと億劫になって、今となっては予定が一つもない。懐かしく、馴染みのある光景だ。暇つぶしに小説を読む、映像を見る。ときどき感情が刺激されるが、新しいものはない。